コーヒーの木は、ツヤのある葉が美しく、耐陰性もあるため室内で育てるのに人気があります。樹形が自然と整うので、インテリア性も高いです。より上手に育てるために、コーヒーの木の育て方や枯らさないコツ、注意すべきポイント、お手入れ方法をご紹介します。
コーヒーの木とはどんな観葉植物?
コーヒーの木は、アカネ科・コーヒーノキ属に属する樹木で、コーヒー豆を収穫するために栽培されています。
その一方、美しいツヤのある葉で育てやすいため、観葉植物としても人気です。まずは、コーヒーの木にはどのような特徴があるのか見ていきましょう。
直射日光に弱い
コーヒーの木は、日光を好みますが、強力な直射日光には弱いです。そのため、屋外に置くとしても直射日光は避けましょう。
日陰に置くか、午前中だけ屋外に置くなどすると良いですよ。室内でも、レースカーテンやブラインド越しに育てるのがおすすめです。
寒さに弱い
コーヒーの木は、寒さに弱いです。最低5℃以上で越冬はできますが、元気な状態で冬越したいなら10℃以上に保つのがおすすめです。
室内で育てる際は、日当たりの良い窓際に置き、できるだけ日光を当てると株が引き締まります。
また、鉢ごと段ボールで覆って、防寒対策をすることも可能です。冬の寒さで葉が落ちることがあっても、枯れることはありませんが、寒すぎる場所にずっと置いていると、春先になって急に枯れ始め、回復しないこともあります。
耐陰性がある
コーヒーの木は耐陰性があるため、1年中屋内で育てることもできます。ただ、できるだけ日光に当てた方が、より元気に育ち、花を咲かせてくれます。春や初夏、秋などの日光が強くない時期は、なるべく屋外に出すといいでしょう。
コーヒーの木の育て方!必要な生育環境と枯らさないコツ
コーヒーの木に必要な育生環境と枯らさないコツには、7つのポイントがあります。ポイントに注意して、元気で健康なコーヒーの木を育ててください。
日当たりのいい場所に置く
コーヒーの木は、窓辺などの日当たりの良い場所に置くのがおすすめです。樹高が1m以下なら多少日当たりが悪くても育ちます。ただ、実を付けたいと考えているなら、しっかりと日光に当てて大きく育てましょう。
夏は屋外に出してたくさんの日光を当てるのもおすすめです。しかし、急に直射日光を当ててしまうと、葉焼けを起こすことがあるので、少しずつ日光に当てる時間を長くして慣らしていくようにしてください。
また、寒さが苦手なので、冬などは10℃以上をキープできる室内の、窓際などの日当たりが良い場所に置きましょう。
夜になると、窓際は外気によって冷えるため、窓から離れた場所に移動させることをおすすめします。
季節によって水やりを変える
コーヒーの木は、季節によって水やりのやり方を変えましょう。
春から秋に生長するため、その時期の水やりは、土の表面が乾いたら行うようにします。特に夏は、水がなくなると葉の元気がなくなるので、その都度水を与えると良いですよ。
また、真夏の昼間などは水をやると、水が沸騰して根を傷めてしまうおそれもあるため、朝か夕方の気温が低いタイミングで与えるようにしましょう。夏の水やりの基本は、週に2~3回程度、鉢底から水が溢れるくらいのたっぷりの水をやります。
冬は休眠するため、あまり水を与えずに、乾燥気味にするようにします。土全体が乾き始めたら、水を与えるほどで問題ありません。
週に1回ほど少なめに水やりをします。葉が萎えてきたら少し与えるくらいでかまいません。
冬には室内に入れる
コーヒーの木は熱帯地域が原産なので、寒さにすごく弱いです。そのため、冬になった10℃以上をキープできる温かい室内に移動させましょう。
日当たりの良い場所に置くのが良いですが、窓から伝わる外気で、葉が枯れてしまうこともあります。
昼間は窓際に置き、夜には窓際から離すように心掛けてください。
水はけの良い土を使う
コーヒーの木は、通気性と水はけの良い土を好みます。市販されている観葉植物用の培養土で問題ありません。
自分で土を作る場合は、観葉植物用の土4:赤玉土1:鹿沼土1でブレンドして、生育環境に合わせて調節をしてください。
カラフルな砂を使っておしゃれに育てることもできますよ。カラーサンドやゼオライトを使えば、コバエ対策にもなります。
定期的に虫を取り除く
害虫の発生は、コーヒーの木を枯らす原因になります。そのため、定期的に葉の裏などに害虫がいないかを確認してください。
コーヒーの木に発生しやすい害虫は、ハダニ・カイガラムシ・アブラムシがいます。見つけたら、すぐに駆除しましょう。
また、葉に霧吹きで水をかける葉水や、濡れた布などで葉を拭くことで、害虫が発生するのが防げます。葉についたほこりも落とせるため、光合成がしやすくなったり、葉の乾燥を防いだりする目的としても効果的です。
肥料は成長期に与える
コーヒーの木は、基本的には肥料を与えなくても育ちます。しかし、元気に大きく育てたいなら、肥料を与えた方が生長が早くなります。その場合は、生長期である5~9月にかけて肥料を与えましょう。
固形の緩効性化成肥料なら2ヶ月に1回程度、速乾性液体肥料なら1週間~10日に1回程度で与えます。葉が色あせているときは、特に速乾性のある液体肥料を与えると元気を取り戻します。
頻繁に置き場所を変えない
コーヒーの木は季節によっては、屋外でも室内でも育てることが可能です。
しかし、普段は室内に置いていたのに、急に直射日光が当たる屋外に出すと、葉焼けを起こしてしまうことがあります。
そのため、1~2週間かけて、だんだん明るい場所に移動するか、毎日少しずつ日光に当てる時間を増やしながら慣らしていくようにしましょう。
また、冬に室内に移動させる場合も、寒くなって急に取り込むのではなく、秋から少しずつ慣らしていくのがおすすめです。
コーヒーの木を育てる際に注意すべき害虫・病気
コーヒーの木を育てていると、ハダニ・カイガラムシ・アブラムシなどの害虫や、さび病という病気に被害を受けることがあります。
ハダニ
ハダニは20~30℃の気温が高くて、乾燥している環境で発生しやすい害虫です。葉の裏側に発生し小さいため、虫だとわからず白い粉のように見えるでしょう。
ハダニは、葉の裏側から汁を吸い、植物を弱らせてしまいます。
見つけたら早めに取り除きましょう。ガムテープで引き剥がすか、殺虫剤で駆除する方法があります。
カイガラムシ
カイガラムシは、5~7月に繁殖しやすく、植物に寄生して栄養を吸い取り、弱らせてしまう害虫です。成虫になると体に硬い殻を被るため、薬剤が効きづらくなります。
そのため、見つけたら幼虫のうちに、早めに薬剤を使って駆除しましょう。
また、歯ブラシなどでこすり落とす方法もあります。カイガラムシの排泄物は、スス病になる原因になるため、早めの対処が必要です。
アブラムシ
アブラムシは、2~4mm程度のサイズで、黄緑色や黒色をした害虫です。葉や花の蕾から汁を吸って寄生します。汁を吸われることで、コーヒーの木は元気がなくなり、枯れてしまう原因になります。
また、体内にスス病などのウイルスを媒介しているので、汁を吸われると、そこからウイルスが侵入して病気にかかる可能性もあるのです。
見つけたら、殺虫剤などで早めに駆除しましょう。
さび病
さび病は、雨がよく降る春と秋の、湿気が多い時期に発生しやすい病気です。
この病気に感染すると、葉に小さなクリーム色のような斑点が付きます。斑点はどんどん広がり、最終的には葉や茎の形が変わり、生育環境が悪くなって枯れてしまいます。
さび病の被害が少ない場合は感染した部分を切り落し、被害が全体に広がっている場合は株ごと処分してください。
窒素成分が多い肥料を与えると、かかりやすくなります。成分バランスの良い肥料を選ぶようにし、風通しの良い環境で育てることが大切です。
コーヒーの木を育てる際に生じやすいトラブル
コーヒーの木を育てていると、トラブルが起こることがあります。ここでは、よく見られるトラブルとその対処法をご紹介します。
下の葉が落ちる
下の葉が落ちる場合は、ただ単に葉の寿命のことが多いため、心配ありません。
ただ、たくさんの葉が落ちるようなら、根腐れを起こしている可能性が高いです。鉢から取り出して、黒く腐った根を切り落し、新しい土に植え替えましょう。
葉の色が薄く厚みもない
葉の色が薄く、厚みが無くなった場合は、肥料不足や日照不足、光合成不足が考えられます。
即効性のある液体肥料を1週間に1回程度、規定量を与えましょう。真夏は株を弱らせてしまうおそれがあるため、規定量より薄くしたものを与えてください。
室内で育てている場合は、日光が足りていないかもしれません。より日当たりの良い場所に移動させて、日光を当てましょう。
また、光合成するにはマグネシウムが必要になるので、株元に苦土石灰を蒔くのもおすすめですよ。
元気がない
コーヒーの木に元気がなくなった場合は、寒さが原因になっていることが考えられます。寒さに弱いため、寒い環境で育てると元気がなくなることがあるのです。
10℃以上をキープした、室内で、より日が当たる場所に移動させて、回復するのを見守りましょう。
コーヒーの木のお手入れ方法
コーヒーの木は育てるうえで、剪定や植え替えが必要です。ここでは、剪定や植え替えのお手入れ方法や、増やし方の詳しいやり方をご紹介します。
剪定して風通しを良くする
コーヒーの木の葉が密集しだしたら、風通しを良くするためにも、間引くように剪定をしましょう。大きく育って、樹形が乱れてきたら、好みの形にカットして整えます。
コーヒーの木は、大きい剪定にも耐えられるので、コンパクトなサイズで育てたいなら、思い切って切り戻しをしても大丈夫です。
剪定の適期は4~6月ですが、軽い剪定なら、温かい室内で時期に関わらず行えます。また、花を咲かせたいなら、剪定をあまりせずに大きく育てるようにしてください。
2年に1度の頻度で植え替えをする
コーヒーの木は成長が早いため、根詰まりを防止するためにも、1~2年に1度は植え替えをしてください。5~8月が適期で、ひと回り大きい鉢に植え替えましょう。
植え替えのやり方は以下のように行います。
- 数日前から水やりを控えて、土を乾燥させる
- 作業する場所にビニールシートを敷く
- ひと回り大きい鉢を用意し、鉢底ネット、鉢底石を敷く
- 鉢の3分の1ほど、土を入れる
- コーヒーの木を鉢から出して、根についた土を優しく揉みながら落とす
- 腐った根を切り落す
- 新しい鉢にコーヒーの木を置き、鉢と根の隙間がなくなるよう、縁下の2~4cmまで土を入れる
- 土の表面を割りばしなどでつつきながら、根の隙間まで土を馴染ませる
- 鉢底からこぼれるほどのたっぷりの水をやる
大きく育てたくないなら、枝や幹と根を同じ割合で切り落します。枝を半分切ったら、根も半分程度切るといった具合です。
その際の鉢は、植え替える前の大きさと同じにします。植え替えをしたら、根が落ち着くまで明るい日陰に置きましょう。
「挿し木」「種まき」で増やせる
コーヒーの木を増やしたい場合は、“挿し木”と“種まき”の方法があります。
挿し木のやり方
挿し木とは、株の一部を切り取って、発根させて増やす方法です。挿し木のやり方は以下です。
- 枝の先端から10cm前後切る
- 給水面を増やすために、切り口がV字になるように尖らせる
- 先端の葉を2~3枚残して、他を取り除く
- 葉が大きい場合は半分に切る
- コップに水を入れて、切り口を数時間浸ける
- 鉢に鉢底ネット、鉢底石を入れて、挿し木用の土を入れる
- 枝の切り口に発根促進剤を付ける
- 土に穴を開けて枝を挿す
- たっぷりの水をやる
挿し木をしてから発根するまでは、2ヶ月以上かかることが多いので、気長に待ちましょう。
種まきのやり方
コーヒーの木は、育てると赤い実を実らせるので、実の中にある種を蒔くことで増やすこともできます。
よく熟した果実の皮をむいて、種を取り出し洗いましょう。ぬるぬるしたものが付いているので、しっかりと洗い流してください。
赤玉土などを使い、種の大きさと同じくらいの深さを掘って埋め込みます。発芽するには15℃程度必要なので、育てる環境の温度に注意しましょう。
乾かないように、日陰で育てると発芽しますよ。子葉が完全に開いたら、鉢に移してください。
コーヒーの木は環境に注意して育てよう
コーヒーの木は、1年中濃い緑の美しいツヤのある葉を持ち、育てやすいと人気の観葉植物です。小さいサイズから大きいサイズまで販売されているので、飾る場所に合わせて選ぶ楽しさもありますよ。
元気に育てるには、季節によって水やりを変えたり、10℃以上をキープできる場所に置いたり、直射日光を当てたりしないことが重要です。
トラブルの対処法や植え替え、増やし方をチェックして、「豆のなる木」としてインテリアにもなるコーヒーの木を楽しんでくださいね。